心臓突然死とは?
健康に過ごしていた人が心臓の疾患で突然亡くなることを「心臓突然死」と呼びます。日本の最新データ(2019年)では、心肺停止で救急搬送されている人は年間約12万7700人もいます。心肺停止の60%以上、7万9400人は心臓が原因の心肺停止であり、これらの多くのケースが救命できず、亡くなってしまうのです。なお、この中の約4万7000人は倒れる瞬間を目撃した人がいないケースです。残念ながら周りに助けてくれる人がいない状況では、適切な救命処置を受けることもできず、時間が経った後に発見されてすぐに救急搬送されたとしても、不幸な転帰をたどってしまいます。
目の前で大切な人が倒れた場合、突然のことで気が動転してしまうかもしれません。しかし、その場にあなた1人しかいない場合、大切な人を助けるためには、あなた自身が行動を起こさなければなりません。当然、受け入れがたい状況であることに変わりはないのですが、目撃者がいるからこそ、救命のチャンスとなるのです。あなたの行動が大切な命の行方を左右します。ぜひ、対処法を知っておきましょう。
目の前で突然人が倒れた!何が起こっているの?
成人が突然意識を失って倒れた場合、心室細動(VF)という致死的な不整脈が出現している可能性が考えられます。完全に心臓が止まっているわけではありませんが、“細動”という用語が表しているように、心臓が細かく震えているだけで、心臓から全身に全く血液を送ることができず、心肺停止の状態です。
私たちにできること
もし、心室細動が原因で倒れた場合、電気ショック(除細動)と心肺蘇生法を行えば、救命することが可能です。しかし、何も行わなければ残念ながら倒れた人は亡くなってしまいます。倒れた場所が病院内であれば、医師が心電図モニターで不整脈を見分けて、必要であれば手動式除細動器を使用して電気ショックを行います。しかし、病院外では医師が近くにいる可能性は少なく、また、モニター、手動式除細動器もありません。
ただし、私たちにもできることがあります。近くにAEDがあり、使い方を知っている場合は、たとえ病院外であっても心室細動を止めることができるのです。AEDは電気ショックが必要かどうかの判定を自動で行ってくれるため、一般の人でも使用することが出来ます。AEDについての詳しい説明はまた別の記事で解説していきますので、是非そちらをご覧ください。
また、救助者が複数いれば、AEDの準備をしている間であっても、同時に心肺蘇生法を始めましょう。絶え間なく胸骨圧迫を行うことで、救命率の低下を緩やかにとどめることができ、除細動 (電気ショック) を行うまでの時間稼ぎができます。ここについても、詳しくは別の記事で解説していきますので、是非そちらも確認してみてください。
まとめ
日本では、年間に約8万人が「心臓突然死」で亡くなっています。しかし、「心臓突然死」は適切な対応をすることができれば、救命することも可能です。
もし、突然目の前で人が倒れる場面に遭遇したら、心肺蘇生法を行い、AEDを使用することで、倒れた人を救命できる可能性がある、ということをしっかりと覚えておいてください。
総務省消防庁 令和2年版 救急救助の現況