心肺停止の救命率|救命率を上げるためには何ができる?

心肺停止の救命率|救命率を上げるためには何ができる?

  • 2022年1月29日
  • 2023年2月14日
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心肺停止はどれくらい助かるの?

心肺停止になった場合、どれくらいの人が助かるのでしょうか。
総務省消防庁の統計を見てみましょう。最新のデータでは、倒れたときに他者の目撃があっても、心肺停止の救命率は9.1%です。10%にさえ届かない結果となっています。

【引用】令和元年版 救急救助の現況、総務省消防庁(p.87)

しかしよく見てみると、年々少しずつですが救命率が上昇していっていることが分かりますね。ここでは、心肺停止が起こった場合の救命率について時間経過とともに解説し、またどのようにすれば救命率を上げることが出来るのかについて説明していきます。

心肺停止と救命率の関係

救急車を呼んでから到着までの時間は、最新のデータ(2018年)では平均8.7分です。これは、倒れた後すぐに救急車を呼んだ場合の時間となりますので、呼ぶのに時間がかかってしまえば、その分、到着は遅くなります。電気ショックまでの時間が1分遅れるごとに救命率は約10%ずつ低下します。もし、救急車の到着まで何もしなかったら、救命率は0~20%ほどになります。本当に、「救急車さえ呼んでしまえばひと安心」なのでしょうか。私たちにできることは他にはないのでしょうか。
加えて、救急車を呼んでから病院収容までの時間、つまり医師に引き継ぐまでの時間は平均39.5分と言われます。救急隊から病院に引き継いだ後に、救命処置は継続しますが、心室細動になった原因治療が必要になります。治療をするために約40分かけて病院に着いても、救急隊の情報、精密検査の結果、過去の既往歴、診断などを照らし合わせる必要がありますので、すぐに本格的な治療に取りかかることができるとは限りません。

目撃があったということは、救急車を呼ぶために通報をしているはずです。もし、そこで通報者の頭が真っ白になっていたとしても、冷静な司令官が通話をしながら胸骨圧迫の指示を出してくれます。それでも、救命率は10%以下になってしまうのです。皆さんはこの数字をどう考えますか。「目の前で突然倒れた大切な人を助ける」ことができるでしょうか。

救命率と似た言葉で生存率という言葉がありますが、救命率と生存率は言葉の定義が異なります。こちらに関しては、下記の記事で解説していますので、そちらを参考にしてください。

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愛知万博の救命率は80%にも上る!

2005年に開催された愛知万博では、期間中に会場で倒れた心肺停止患者が5人いました。そのうち4人が救命されています。日本の救命率が10%に満たない中で、この80%という数字は驚異的です。実はこの2005年というのは、一般市民でもAEDが使えるようになった翌年で、会場内の300mおきにAEDを配置するなど、先進的な取り組みをしたことで後世にも名を残しているイベントなのです。家庭と愛知万博、いずれも「目撃あり」の心肺停止に対する救命率ですが、結果は大きく異なっています。病院外なので、医療従事者が近くにいないという点も同じです。1つだけ、明らかに異なる条件があります。“AEDが近くにあったかどうか”です。そして、その近くにあったAEDを正しく使用できたからこそ、このような良い結果になったのでしょう。

その他にも日本や世界で高い救命率を誇っている地域やイベントについてはこれから紹介していきますね!

救命率を上げるためにできることは電気ショックだけなの?

電気ショックと心肺蘇生法を組み合わせることはさらに有効です。救命率の低下を完全に止めることはできませんが、絶え間なく胸骨圧迫を行うことで救命率の低下を1分間に3~4%にとどめることができます。AEDを取りに行き、電気ショックをかけるまでの時間稼ぎができます。

まとめ

人が倒れてからすぐに救急車を呼んでも、到着まで平均8.7分、病院で医師に引き継がれるまで平均39.5分かかっています。医療者が全力で救命にあたっても、心肺停止患者の救命率は10%に満たないのが現実です。愛知万博の例を見ても、近くにAEDがあること、AEDを正しく使用できることで、救命できる可能性が大きく上昇します。

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